COLUMN
コラム訪問看護では、病棟勤務では味わえないハプニングも数多くあります。
そんな中でもほっこりする「訪問看護のあるある話」について、ご紹介していきます。
ひとりでの訪問が不安でなかなか一歩踏み出せないという人は、今回の記事で訪問看護の他の面からの魅力を少し知ることで、訪問看護の道を踏み出す勇気がでればと思います。
認知症で、80代女性の方の訪問のときのことです。
訪問看護が来ることも忘れてしまうため、朝一番での訪問にしてくださいと依頼があり、介入していました。
ある日、訪問するとインターホンを鳴らしても返事もなく、いつもは鍵を開けに玄関に出て来るはずなのに、その日は出てきませんでした。
訪問ではよくある、家の中で倒れているパターン?
そう思いながら、ケアマネージャーに状況を電話で説明。すぐに駆けつけてくれました。
その日は、介入時間もなくなってしまったためそのままキャンセルに・・・。
あとから、ケアマネさんから連絡が来て、買いものに出かけていたとのことで、一安心。
その後、万が一のためにキーボックスをつけてもらい、インターホンを鳴らしても出てこなかった時には、キーボックスの鍵を使って中に入って行くことになりました。
その後は、特に朝から買いものに行くといったことはありませんでしたが、とてもヒヤヒヤしたケースでした。
最近では、訪問するといなくて受診に行っていたというケースにも出くわしました。
訪問するといなくて「まさか!倒れてる?」のヒヤヒヤケースは、もはや訪問看護では「あるある」です。
今度は、男性の認知症の方のお話です。
内服管理や作業療法のような、リハビリを行うために介入していました。
メインの介入は、どちらかといえば内服管理の方でした。
その方の一番の問題としては、眠剤を眠れないからといって多重内服してしまうことでした。
とある日も多重内服され、あまり飲むと起きれなくなったり、体によくないということを少し強めにお話をしていると「もう来なくていい!」と怒らせてしまいました。
かなり進行している認知症だったので、次の訪問では大丈夫だとは思っていたのですが、その日は奥様に謝罪して退室。
次の訪問では、何事もなかったかのように、そのご主人が「おう!よくきたな」上がって・・・と笑顔で出迎えてくれました。
よかったという安心感とともに、そのご主人のニコッとした笑顔にとても癒されたのを今でも覚えています。
次のケースは、小児の重症心身児ケースのお話です。
このケースでは、夕方に入浴介助と胃ろうからの注入と食事介助をお願いされていました。
基本、お母さんができるのですが今後のことを考えて、家族以外の介助にも慣らしておきたいといったもの・・・。
夕方の介入だったので、本人の入浴介助のあとにお母さんはきょうだいのお風呂も一緒にしていました。
私が、本人の体を拭いて胃ろうの処置、食事介助をしているときょうだいの子たちが、お風呂から上がって来るといった感じでの介入。
そのきょうだいの子たちは、お母さんが体を拭いて洋服を着てくるまで、すっぽんぽんのまま部屋を走り回る光景がお決まりになっていました。
ただ、訪問看護では高齢者のお宅が多い中、子どもがすっぽんぽんで走り回る光景に、ほっこりしていたのを覚えています。
それから数年。いま、当時介入していた時のきょうだいの子と同じくらいの息子が私にはいますが、お風呂上りに同じように裸でいることが多く、そのときのことをよく思い出します。
コロナ後は、ペットボトルを渡してくださるお宅も多くなりましたが、以前は介入後にお茶を出してくださるお宅が多くありました。
ただ、このお茶タイムも信頼関係作りとしての場になったり、ここでお話しすることで新たな情報を得られることも多々あったり、大事な時間だと私は感じています。
訪問するお宅ごとに、お茶を出してくださるのでトイレが近くなることも多々あり、訪問と訪問の合間のどのタイミングでどこのトイレを使うか、ほぼ決まっていたくらいです。
訪問時間が迫っていて、トイレに行くタイミングを逃すと、膀胱がパンパンになるくらい尿が溜まり、危うく尿失禁してしまうのではないかというときもありました。
訪問看護師をしている3年程の中で、1〜2回くらい利用者さんのお宅のトイレを借りたような気がします。
利用者さんのお宅のトイレを絶対に借りてはいけないわけではないですが、やはりトイレは介入前に済ませておくのが礼儀です。
また、次の訪問が迫っていると慌ただしくお茶を飲み干す感じに・・・。
冬場は、熱いお茶を出してくださるので、焦りながら少しずつ熱いお茶を飲んでいました。
あるお宅では「これお昼ご飯代わりに食べていきなさいよ」と軽食を出してくださるお宅まで・・・。
出してくださったものを食べない方が失礼なので、今回だけ・・・といって食べましたが、そのお宅の方は、孫が来たような感覚だったのかもしれません。
年齢的にお客さんが来たらお茶を出すといった習慣から、介入後のお茶タイムがあるお宅はこれから訪問看護をはじめる人も、よく出くわすかもしれません。
今回は、訪問看護の利用者宅でのあるある話について、お話してきました。
訪問看護は、ひとりでの訪問で大変なことも多いですが、じっくり関われるからこそ家族のように接してくれる人がいたり、ほっこりするようなハプニングもたくさんあります。
利用者さんとじっくり関われることによるやりがいも魅力ですが、今回のようなほっこりエピソードも訪問看護の魅力の一つです。
ぜひ訪問看護師になって、ほっこりした体験もしてみてくださいね。
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