COLUMN
コラム訪問看護ステーションは、在宅で療養する方々に医療サービスを提供する施設です。高齢化が進む日本では、その需要が年々増加しています。
現在、訪問看護ステーションの多くで抱えている悩みが、看護師不足です。
訪問看護は大変という話ばかりが出回って、なかなか魅力が伝わっていないということがひとつの原因として考えられます。
また、訪問看護ステーションは人手不足で求人を出すため、教育も丁寧にできない事業所もあるのが事実です。
そして、新しく入った人はひとりで悩みを抱えてしまい、入ってもすぐに辞めてしまうといったことも考えられるでしょう。
今回は、訪問看護師が現状どのくらいいるのかとともに、なぜ人材不足になってしまうのか詳細について、分析してみました。
ぜひ、参考にしてみてください。
厚生労働省やニュースサイトにて、訪問看護師に興味を持っている人は、3~4割程度に対して、訪問看護で働くことへの不安を抱えている人は、9割を超えているという結果でした。
このことからも分かるように、訪問看護での仕事というのは、仕事内容や教育体制が見えずに不安を抱える人が多く、そもそも訪問看護に興味を持つ人がいないというところが、訪問看護師不足の一つの要因です。
この他、実際に働いてみたけれども思ったよりもハードで辞めてしまうという人も少なくありません。
次の章の脳問看護師が人材不足になる理由で、そこらへんについてさらに深堀して解説していきます。
では、なぜ看護師の4%しか訪問看護師として働いていないのでしょうか。
訪問看護師が足りなくなっている原因について、解説していきます。
前述もしましたが、訪問看護自体の敷居が高くて訪問看護師になろうと思えないというのが、ひとつ目の理由です。
訪問看護は、看護師がひとりで訪問して判断してケアを提供していくというのは、看護師であればほとんどの人が知っています。
しかし、それが独り歩きしてしまい実際に入職してから、どんな流れでひとり立ちしていくのか明確なものが見えにくいために、不安になる看護師が多く、訪問看護への足が遠のく原因になっています。
実際は、はじめのうちは同行訪問して、ひとりで訪問し始めても相談できる連絡体制は整っていることがほとんどです。
そのため、必要以上にひとりでの判断や訪問に対して、怖がる必要はありません。
ふたつ目が訪問看護が思ったよりも、ハードだったと思う人が多いことです。
看護師としての判断は相談できますが、ケアをしていくにあたっては基本ひとりで行ないます。
訪問看護でも、最近は寝たきりの人も多いです。
そんな人の場合、病棟勤務では二人体制でおこなうことも、ひとりでやらなければいけない状況も多いです。
また、病棟看護師のときには外部との連絡は、看護師がすることはほとんどありませんでしたが、訪問看護師ではケアマネへの連絡などをすることも多く、書類関係の作業も多くなります。
さらに、夏は暑い中での移動、冬は寒さの中での移動など、訪問するお宅との寒暖差で体力が奪われていくということもあります。
病棟勤務よりも、看る利用者さんは少なくその時間ひとりに集中して看ていけるのですが、その他のところでの体の負担や業務量の多さから、大変で辞めてしまう人が多いのも現状です。
訪問看護は、日中だけの勤務で残業がほとんどないというイメージがあります。
もちろん、病棟勤務に比べたら残業は少ないです。
しかし、月末月始などで書類業務があるときには、残業することも多いです。
ときには、利用者さんの都合で夕方遅い時間から訪問に入ることもあります。
となると、できるだけ残業せずに夕方からは子どもとの時間を大切にしたいママさんにとっては、思ったよりも残業があるということになるんです。
また、訪問看護ではオンコールが必須の事業所が多くなってきました。
小学生以下のお子さんがいるママさんは、なかなかオンコールの電話を持つことが難しい場合もあります。
すると、訪問看護よりもパートで病棟勤務やクリニックでの選択をする人が、多くなるというのが現状です。
ただ、神奈川県の調査では、小学生以下の子どもの有無で退職者を比較したところ、さほど変わらない数字が出ています。
このことから神奈川県では、子どもが「いる」「いない」で退職理由を決めているわけではないとの見解を示しています。
参考:訪問看護ステーションにおける 人材確保・定着に関する実態調査 報告書(抜粋)
訪問看護の場合、夜勤がない分基本給がさほど変わらなくても、もらえるお給料が下がってしまいます。
オンコールの電話を持って対応しても、夜勤ほどもらえることはほとんどありません。
子どもがいる場合には、育児との両立で訪問看護を選ぶ人も多いです。
しかし、独身で子どももいない場合、同じ責任を負いながら仕事をするのであれば、やはりより多くのお給料がもらえる病棟勤務で働く選択をする人が多くなるでしょう。
訪問看護は、その敷居の高さからなかなか面接すら来てくれません。
また、エージェント会社などから紹介されてもオンコールができないという人が多いということもあります。
私が、管理者をしていた事業所のときにも、オンコールができないという人からの応募が多かったのを覚えています。
私自身も、子どもが産まれてからはオンコールをしなくてもいい事業所を選びました。
このように、ただでさえ訪問看護をやってみたいという人がいない中で、ようやく応募してくれてもオンコールができなくて、採用できないということも多々あります。
そうしていくと、現状働いている人の疲労や不満がたまり、辞めてしまうということにつながり、でも人は入ってこなくて、さらに大変になって辞めていくといった悪循環になります。
訪問看護ステーションの人手不足解消のためには、もっと教育体制を充実させて、安心して働ける環境を作るとともに、その状況を事業所内にとどめるだけでなく、外に発信していくことが必要となってくるでしょう。
業務の効率化やITツールの導入により、看護師の負担を軽減する取り組みが必要です。
例えば、電子カルテの導入や訪問スケジュールの最適化などが効果的です。
看護師の給与や福利厚生を改善することが求められます。
また、キャリアアップの機会を提供し、長期的な働きがいを感じられる環境を整えることも重要です。
訪問看護に特化した研修プログラムを整備し、看護師が安心して業務に取り組めるよう支援することが必要です。
また、先輩看護師とのメンター制度を導入し、実践的な指導を受けられる環境を作ることも効果的です。
訪問看護の今後の大きな課題は、訪問看護師の人手不足です。
地域包括ケアシステムの導入に向けて、訪問看護の体制も変わりつつあり、ひとつの事業所に必要な看護師も増えてきています。
それに対して、訪問看護師になりたいと思う看護師は、少ないのが現状です。
今後、訪問看護という仕事がどんな仕事かというのを広めていくのとともに、事業所内での研修体制に力を注いでいく必要があるでしょう。
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