COLUMN
コラム介護現場では「ヒヤリ」や「ハッ!」とした瞬間、いわゆる「ヒヤリハット」が時々起こります。大きな事故には至らなかったものの、事故が起きてもおかしくない状況を指します。
介護現場では、多忙な業務の中で小さな見落としや油断が原因となり、ヒヤリハットが発生することがあります。このような場面では誰もが一度は経験するかもしれません。
高齢者や認知症の方が多い環境では、予期せぬ行動や突然の状況変化が起こりやすく、ヒヤリハットが避けられない場合もあります。
報告や情報共有が不十分な場合、ヒヤリハットが起きやすくなることがあります。
労働災害の発生比率を表した『ハインリッヒの法則』では、
この法則から、ヒヤリハットを減らすことが重大事故の防止につながると考えられています。
ヒヤリハットが起きた際には、原因を究明し、職員全体で共有することが求められます。これにより、再発防止と業務の改善が可能になります。
軽微な事故やヒヤリハットは「大事に至らなかった」と済ませるのではなく、原因を追求し改善策を考えることが重要です。
報告書を活用して情報共有を行い、「ヒヤリハットが起きるかもしれない」という意識を職場全体で持つことが大切です。
介護現場でのヒヤリハットは避けられない部分もありますが、報告や情報共有を徹底することで、事故を未然に防ぐことができます。日常の業務の中で注意を怠らず、職場全体で安全な環境を作っていきましょう。
【状況】
片マヒの利用者をベッドから抱き上げる際に、職員の体勢が悪くよろけてしまい、さらに車イスを置く場所も悪かったため、危うく利用者を落としそうになった。
【原因】
介助の体勢に問題があった・車イスの位置が悪かった。
【対策】
車イスを極力ベッドに近づけフットレストを上げる。介助しながらベッド端に座っていただく。足底が床につく程度にベッドの高さを調節する。
介助者は『支持基底面』を意識して、重心移動・回旋が安定する位置に足を置く。
身体を密着させて声掛けしながら抱え上げる。
【状況】
入浴中、誤って冷たいシャワーをかけてしまい、認知症の利用者がパニックになり騒ぎ出した💦
【原因】
シャワーの温度を確認せず、いきなりかけてしまったため。
【対策】
シャワーは必ず職員が腕で温度確認し、声掛けしてからかける。
【状況】
デイサービスで食後の薬を用意し忘れ服薬できなかった。帰りの準備で薬が見つかり飲み忘れが発覚した。
【原因】
職員が朝の準備段階で、利用者の荷物から薬を出し忘れた。職員それぞれが「誰かが出しただろう」と確認しなかった。
【対策】
疾患によっては薬の飲み忘れが重大な事態に繋がる恐れがあるため、服薬がある利用者はしっかりと把握し、職員同士でダブルチェック、トリプルチェックをする。
【状況】
入浴後、急いで更衣介助していた時、ファスナーで利用者の皮膚を挟んでしまい、皮膚剥離を起こしてしまった。
【原因】
入浴人数が多く時間に追われて急いで着替えたため、ファスナーを閉める際の注意が足りなかった。
【対策】
どんなに急いでいても高齢者は皮膚が薄く弱いので、簡単に剥離してしまうことを念頭に置いて介助する❗
【状況】
デイサービスの送迎時、職員が車のドアを閉めるタイミングが早く、利用者の指をドアに挟んでしまった。
【原因】
職員が安全確認を怠ったため。
【対策】
しっかり安全確認を行うにつきる。きちんと乗れたか、手は出ていないかなどよく注意して見ながら大きい声で「閉めますよー」と声掛けしてゆっくり閉める。
こうして見ていると、ほとんどの事例がちょっとした注意で回避できたものだと分かります。
どこの施設も人手不足問題を抱えている介護現場ですから、日々忙しく職員の余裕がなくなって注意不足になってしまうのかもしれません💧
しかし、ほんのちょっとしたタイミングで大きな事故に繋がることがあります。
その前触れがヒヤリハットになりますから、ヒヤリハットが職員への「注意喚起」だと思うことが重要です❗
現在、ヒヤリハットと介護事故の明確な基準は定められていません。
ですから、それぞれの施設で独自にルールを設けています。
そうすると、各施設によってヒヤリハットと介護事故に対する認識が違ってしまうことがあります。
例えば、前述したヒヤリハット事例でいうと、筆者の認識では事例④と事例⑤は介護事故に値すると思います🤔。
基準は『利用者が痛い思いや怖い思いをしたかどうか』だと思います。
しかし多くの場合ちょっとしたケガやアザではヒヤリハットで処理されてしまうのです。
これでは介護事故を防ぐためにヒヤリハットがある意味がありません。
さらに介護職員は介護事故・ヒヤリハットを未然に防ぐ力が必要です❕
状況を見てその先を『予測する力』がとても重要なのです❗
介護現場のヒヤリハットを防ぐためには、事故を未然に防ぐ取り組みが重要です。労働災害や重大事故に繋がる可能性を減らすためには、ヒヤリハットの事例を報告し、分析・共有する必要があります📝。
ハインリッヒの法則によれば、300件のヒヤリハットの背後に1件の重大事故があるとされ、日常的な注意と報告書の作成が求められます。
このような日常的な努力によって、介護現場の安全性を高めることが可能になります🙌。
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