COLUMN
コラム今回は、訪問看護師をしていることで出くわしやすいミスについて、ご紹介していきます。
訪問看護ならではのミスを主にご紹介しているので、参考にしてみてください。
訪問看護でも多いのが内服セットです。
人によっては、大量の内服をしなければいけない人もいます。そんな人の場合、一包化になっていたり、訪問薬局が入っていることも多いのですが、ご家族やご本人の意向で、看護師に訪問のときに一緒にやってほしいということも多々あります。
そんなときに起こりやすいのが、内服セットミスです。
看護師がセットしたものを信用して、ご利用者さんやヘルパーさんの内服の促しはされていくので、そこでミスをした場合そのまま内服されてしまう可能性が高いのです。
特に、透析しているご利用者さんの中には、曜日によって内服の種類が変わる人もいます。
私が経験したセットミスで、こんなことがありました。
透析患者さんで、火木土の透析日の朝には血圧を上げる薬を内服、透析後の夜には降圧薬を内服と、透析日と非透析日で内服の内容が変わる方でした。
透析のない、月水金で訪問しており、月曜日に内服セットしていたのですが、土曜日分の朝に血圧を上げる薬がセットされていないのが見落とされ、そのまま次の月曜日の訪問になってしまいました。
次の週、ご本人とご主人からそのお薬がセットされていなかったのを指摘され、発覚しました。透析に大きな影響はなかったものの、ご本人ご主人に謝罪し、ケアマネにも連絡。
さらに、透析をしている透析室にも状況報告と謝罪をするといったことになりました。
以前より、内服の変更も多く、他の病院から精神科薬ももらっていることから、訪問薬局の提案をしていました。
しかし、なかなかご本人ご主人から承諾が得られずに、看護師でセットしていたという経緯もあったので「とうとうやってしまった・・・」という感じでした。
その後は、週3回を二人で担当しているため、訪問のたびに行ったスタッフが内服セットのミスがないか確認するようにしています。
在宅では、急変したときに救急搬送するのか、在宅看取りなのかで対応が変わってきます。
実際にあったケースでこんなことがありました。
特に、急変するような様子はなかったご利用者さんですが、病院に行くことも大変になってきたため、訪問診療を入れ始めた直後の話です。
ある日ご家族から、なんだか苦しそうにしているため急いできてほしいと言われ、訪問したのですが、訪問した直後に呼吸が停止し、血圧低下も見られました。
ご家族の了承を得て、救急搬送したのですが、その後訪問診療に連絡した際に、ご本人は在宅で最期を迎えたいというお話があったことを聞きました。
その際、ご家族は同席しておらず、訪問看護も同席していなかったため、ご本人がそのように言っていたというのを直接聞いたのは、訪問診療のみでした。
二人の娘様がその方にはいたのですが、救急搬送のときにいたのは次女様。長女様にも連絡をし「訪問診療ではご本人自宅で最期を迎えたいと言っていたようだが、救急搬送してしまっている」旨を伝えると、長女様から「訪問看護を利用するときに、なぜそこの話を本人と詰めていなかったのか・・・」といったお叱りがありました。
確かに、ご本人の意向とは違った形になってしまいました。
そこで、なぜそのようになってしまったのか、訪問診療と訪問看護で急遽振り返りのミーティングをすることになりました。
私はそのミーティングに参加していないので、その後どのような対策をしていくなどは、私も分かりませんが、ご利用者さまが良い最期を迎えられるように携わっていくためには、訪問看護利用当初から、そこら辺も踏まえて関わっていくことの大切さを知る機会となったケースで、訪問看護ならではミスともいえるでしょう。
よくあるミスではないかもしれませんが、在宅医療を担っていく訪問看護師としては、とても重要なことだと思ったので、ここでご紹介させていただきました。
50代のがん末期の人の訪問であったミスです。
50代ですが、がんの末期ということで介護保険の認定がおり、要支援が出ている方でした。
訪問看護では、がんの末期の診断である場合、介護保険を持っていても医療保険での訪問になるというルールがあります。
しかしこのケースの場合、介護保険証をもっており、訪問看護指示書には癌の記載はあったものの「末期」という文言はなかったため、介護保険での訪問で開始しました。
その後、別の事業所のケースで似たようなものがあり、そこでは1年ほど医療保険での介入のはずが介護保険で訪問していたため、差額が膨大な金額になっていることが発覚。
介護保険は収入が少なければ1割負担ですが、医療費は50代の場合、収入に関係なく3割負担になります。そのため差額分を支払ってもらう必要があり、利用者さんの負担がかなり大きくなるのが問題となりました。
もしかして、今回のケースもそうなのではないかと問い合わせたところ、指示書に「末期」の文言がなくても、介護保険の認定がおりている時点で「末期」の状態であることは明らかなため、「がん末期」として医療保険での訪問になると言われました。
その後、ご利用者さんに謝罪しひと月分の訪問料金の差額分を頂くことになりました。
以降の訪問はしばらくの間は、マル親の福祉医療証が利用できることから、公費負担で利用できることになりましたが、若くしてがんの診断で介護保険の認定が下りている人の訪問を引き受ける際には注意が必要だと感じさせられたケースです。
今回は、私が訪問看護師として働いてきたミスの中で、あってはならないけれども今後の学びとなったミスについて、ご紹介してきました。
訪問看護師も、人間なのでミスを犯すことも少なからずあります。
しかし、そのミスから今後どのように同じことを繰り返さないようにしていくかが大切となってきます。
ぜひ、今回ご紹介してきたケースもひとつの起こりやすいミスとして、とらえて
今後の訪問などにお役に立てていただけたらと思います。
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