COLUMN
コラム「訪問リハビリには種類がある?」
「訪問看護の訪問リハビリと医療機関の訪問リハビリの違いは?」
訪問リハビリには種類があります。しかし治療目的や治療内容は訪問リハビリの種類では変わらないので、一見同じ様に見えることが多いです。実は、種類により医療従事者の連携や業務形態、運営などには違いがあります。
この記事では、訪問リハビリの種類に関することを理学療法士向けに解説しています。訪問リハビリをしたい方や知識を深めたい方は是非この記事を参考にしましょう。
訪問リハビリとは、主治医の診断によりリハビリが必要であると判断した患者に行います。理学療法士が患者の自宅に訪問し、生活の自立や社会活動の活性化を図ります。
訪問リハビリは種類がないように思われますが、実は提供する事業所や保険制度によって種類が異なります。訪問リハビリを提供しているところは、訪問看護ステーションか医療機関の2カ所に大きく分けられます。さらに患者の利用する保険が介護保険か医療保険かによって介入頻度や料金が異なってきます。
訪問リハビリ | 訪問看護ステーション | 介護保険を使用 |
医療保険を使用 | ||
医療機関から提供される 訪問リハビリ | 介護保険を使用 | |
医療保険を使用 |
訪問看護ステーションの訪問リハビリとは、訪問看護の事業所のサービスです。かかりつけ医にあたる主治医からリハビリの指示をもらうと受けられます。
訪問看護ステーションに在籍する医療従事者は、看護師・准看護師・保健師・助産師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士です。訪問看護ステーションはリハビリ目的の患者であってもリハビリだけではなく、日常のケアや管理のために看護師の介入も同時に行われることが多いです。
看護師の介入内容は身体の清掃や入浴介助、食事や排泄のケアや服薬管理など様々です。理学療法士は看護師から入浴や排泄・食事介助の様子を確認できます。また理学療法士は服薬の確認をして看護師に報告したりと補助的な仕事も行います。
業務は訪問看護や訪問リハビリがメインなので、移動で使うバイクや自転車や車、カルテ記入できるタブレットなど支給される道具や乗り物が充実しています。直行直帰ができたり、休みは曜日固定であったり事業所によっては働き方の自由度が高く特徴的な場合があります。
医療機関は病院・クリニック・診療所・介護老人施設・保健施設・介護病院のことです。これら医療機関の医師がリハビリの指示を出すと、当院のリハビリスタッフの訪問リハビリが開始されます。
利用は、医療機関の自宅退院後に生活復帰に不安がある場合や、外来への来院が困難な場合に訪問リハビリを開始するケースが多いです。
訪問リハビリを利用していた医療機関で行う場合、過去の身体状態の情報が入りやすく医師との連携がしやすいです。入院中や外来の担当理学療法士が、訪問リハビリでもそのまま担当になる可能性があります。患者としても安心できます。
訪問リハビリ業務は、病棟や外来との兼務か一時的な配属で任される場合が多いです。勤務形態は病棟やクリニックの業務をしていた時と変わらず、訪問看護ステーションのような直行直帰やタブレットでのカルテ記入がないです。給料や休みなども医療機関の職員と同じになります。
訪問看護ステーションの訪問リハビリ
介護保険 | 医療保険 |
1回(20分~60分):20分につき294円 | 1回(30分~90分):853~953円 |
1回20分以上、週120分または週3回までの介入 | 基本1回30~90分、週3回までの介入 |
※利用者負担が1割の場合
※月初回訪問時の機能強化型訪問看護管理療養費、加算等は除く
※同一建物居住者以外の場合の利用料金
医療機関の訪問リハビリ
介護保険 | 医療保険 |
1回(20分~60分):20分につき296円 | 1回(20分~60分):20分につき300円 |
週120分 | 退院後3カ月間は週240分まで。以降は週120分急性増悪時は半年に1回、2週間の間は1日80分 |
訪問看護ステーションの訪問リハビリの運営
訪問看護ステーションは医療施設と異なり、一般的には株式会社が運営している法人が大半です。法人の特徴は、多種多様のサービスをしていることが多く、目的としては利益をだすことです。事業所の代表が看護師か療法士かで、取り扱いサービスのメインが看護かリハビリかで異なります。
近年は改訂制度によりリハビリの点数が下がって来ているので、リハビリのみのサービス提供は少なくなっています。少なからず看護の介入もしていることが多いです。
医療機関の訪問リハビリの運営
医療機関の病院や施設、クリニックなどが運営している訪問リハビリステーションになります。医院の場合は患者の状態が安定すると在院日数を短くするために、自宅でリハビリを開始する目的があります。クリニックの場合は、外来患者の状態が悪化して来院出来なくなった際に、訪問リハビリでアプローチを継続したい目的があります。
訪問リハビリを利用したいと思っていても、受ける条件が決まっています。訪問リハビリを受ける場合、患者は介護保険や医療保険、医師の指示が必要です。
介護保険を受けるには
医師の意見書をもらうか、訪問調査を受けると要介護認定の審査が入ります。認定は要介護1~5または要支援1・2、非該当で区分されます。非該当になった方は医療保険を利用する流れになります。
医療保険受けるには
要介護認定を受けていない人や主治医が訪問リハビリの必要があると認めた人は、医療保険でリハビリを受けられます。厚生労働省の特定疾患や急性増悪の方は、特に訪問リハビリを受けやすいです。
訪問看護ステーションと医療機関のどちらに勤めているかによって、訪問リハビリ内容は変わらなくても給料は違います。訪問看護ステーションの場合、一般的に給料は病院勤務の時よりも高い場合が多いです。
しかし、訪問看護ステーションは採用に経験年数を設けている所が多く、経験や判断能力が給料と担う様に設定されています。医療機関では、給料も病院やクリニックの形態と同じです。医療機関の業務内容のひとつに訪問リハビリの内容が入っているといった考え方です。一般的に病院やクリニックなどは、訪問リハビリよりも給料は低いです。
訪問リハビリをしたい理学療法士は、医療機関または訪問看護ステーションのどちらで働くかで上記の内容が異なります。比較したうえで選びましょう。
訪問リハビリで働くと、患者のご家族などにどうすれば訪問リハビリを受けられるのか、介護保険が変わったので今後どのようにしたらよいのかと質問されることがあります。その際に理学療法士は説明や助言ができるようにしましょう。
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