COLUMN
コラム最近では、新卒を受け入れている訪問看護ステーションも多くなってきましたが、やはり病院の経験があると実際に訪問看護師として働き始めてもその経験が生かされます。
では、具体的にどんな経験が訪問看護師になったときに、特に活かされるかご紹介していきます。
病院勤務で培っておくといいスキルにもなるので、訪問看護師を目指している人はぜひ今後の病棟勤務などで、意識して仕事をしていってみてくださいね。
訪問看護は、ある程度状態が落ち着いている人が多いです。
しかし、落ち着いているからといって、まったく急変がないわけではありません。
急変といっても、少し様子を見てもいいものか、それとも救急搬送レベルなのかを、判断する能力が訪問看護では必要です。
また、急変時の応急処置を知っていても、実際に行動に移せなければ意味がありません。
特に訪問看護の場合、オンコールで話しを聞き取りそこら辺の判断をしなければいけないこともあるでしょう。
参考書などを読めば、知識を入れることはできます。
しかし、実際にその場になったとき、頭が真っ白になってしまうことも考えられます。
それを防ぐためには、やはり経験が必要です。
病棟勤務でも、急変がおこらないことに越したことはありません。
しかし、もしそのような状況になったときには、いい経験をさせていただいていると思って、そこからさまざまなことを学ばせてもらいましょう。
緊急時の対応と同様に、症状の評価やアセスメントも訪問看護では基本ひとりで行うことになります。
このときも、病院勤務での患者さんとの関わりでの経験が、とても役立ちます。
同じ病気でも、個々で症状が違うことが多いのは、みなさんも承知でしょう。
高齢者では、一般的な成人の症状としてあらわれてこないこともあります。
病院勤務のときに、さまざまな患者さんと関わり、いろんなケースの看護を経験しておくことは、訪問看護師として働いたときの症状の評価とアセスメントへつながっていきます。
病院勤務では、退院指導をすることもあります。
その時に、今後の生活にあたっての指導やアドバイスも行っていくことも多いですよね。
訪問看護では、退院後の生活に携わっていきますが、訪問する利用者さんがどんな指導やアドバイスを受けたのか、伺うときにもきちんと理解しているかどうかが、利用者さんの説明で予想することができます。
さらに、理解できていなさそうであれば、訪問時に再度指導やアドバイスをして、在宅生活を送っていく上で、きちんと出来ているかも見ていくことができるでしょう。
そのため、病院で行う退院指導やアドバイスは、訪問看護師として働いたときにはとても役立つ経験となってきます。
訪問看護では、看護師がリハビリを行う機会が、病院よりも多いです。
看護師の状態観察も必要だけれども、リハビリもしてほしいという場合、サービスが増えるとそれだけ費用もかかります。
そのため、看護師が訪問したときに、リハビリも一緒にしてほしいという依頼も多くあります。
そんなとき、助かる知識や技術が、病院で行っていたときのリハビリの経験です。
「でも、リハビリの専門病院に勤めたことないし、そんなに専門的なことはしていないけれど・・・」という人もいるでしょう。
しかし、専門的なリハビリが必要な場合は、在宅でもリハビリスタッフの介入が必要だということになります。
このような場合、訪問リハビリなどの導入を提案していくというのも、訪問看護師の役割です。
そのため、看護師がリハビリを行うケースでは、病棟勤務で行っていたリハビリの知識や技術で十分な場合が多いです。
しかも訪問看護の場合、看護師とリハビリスタッフの距離が近い事業所も数多くあります。
そのため、実際に訪問していてリハビリで分からないことが出てきた場合、リハビリスタッフに相談して、教えてもらうということも気軽にできます。
私も、リハビリの知識や技術は、訪問看護師になってから事業所内のリハビリスタッフに、教えてもらって習得したものが多いです。
最後に、感染対策です。
病院では、ある程度清潔不潔区域に分けられています。
しかし、在宅では今までやこれからの生活のことも考えると、病院のようにきちんと区分けすることが難しい場合があります。
とはいえ、処置などでは感染対策のために、ある程度清潔区域を作って行わないといけない場合も多いですよね、
そんなときにも、病院での経験が役に立ちます。
例えば、病棟勤務のときに点滴など清潔に取り扱わなければいけないものを、持ち歩くときどうしていますか?
アルコール綿で清潔にしたトレイやカートの上に置いて、持ち歩くようにしているのではないでしょうか。
ご自宅でも同じことが言えます。
ご自宅の場合、生活の場でもあるので、なかなか清潔区域だけを作るのが難しい場合が、多くあります。
そんなときは、ベッドテーブルをアルコール綿で拭いて、清潔区域をさっと作ったり、ご自宅にある入れものを清潔にして、利用したりして清潔区域を作ることができるでしょう。
在宅では、病院のように清潔区域だけの場所を作るのは難しいですが、工夫次第で簡易的に作ることが可能です。
そして、こうした創意工夫を訪問看護師は、さまざまな場面でしていきます。
今回は、訪問看護で役立つ病院の経験をご紹介してきました。
訪問看護では、ひとりでの訪問になります。
したがって、ある程度症状などからアセスメントする能力は、必要となってくるでしょう。
また、病院のように環境が整っていない中で、どのようにしたら病院の環境に近づけられるかという、訪問看護師の創意工夫が必要です。
その創意工夫も、病院での経験があり基礎が分かっているから、こうしてみたらどうかと出てくるものです。
いま、病院で働いている看護師さんは、業務ひとつひとつが訪問看護師として働いたときに役立つ経験となります。
訪問看護師を目指している看護師さんは、今病院で経験していること、ひとつひとつを大切にしながら働いてみてくださいね。
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