COLUMN
コラム今回は、精神科に特化した訪問看護ステーションのケースについて、ご紹介していきます。
精神科の訪問看護って、どんなことをしているのか、一般的な訪問看護よりもさらにわからないという人もいるでしょう。
ぜひ、そんな方は今回の記事を参考にしてみてくださいね。
精神疾患を抱える人や精神的なサポートが必要な人に対して、自宅に訪問して看護をしていきます。
これまで、私が訪問看護師として多かったケースとしては、認知症、統合失調症、うつの人が多かったです。
これらの人たちに対して、お話を聞いたりお薬をきちんと飲めているかを確認したりしていました。
一緒に住んでいるご家族へ対応のアドバイスや接し方のアドバイスをしていくことも訪問看護師の役割です。
また、精神疾患を持っている人の中には、日常生活に支障が出てしまう人もいます。
そのような人が、問題なく生活できるように環境を整えていくための、アドバイスをケアマネージャーやご家族にアドバイスしていくこともあります。
精神科訪問看護でも、もちろんバイタル測定などの状態観察を行います。
それとともに、大切なのが精神看護ではお話を聞いて今の精神面での観察です。
ときには、取り繕う利用者さんもいるので、表情やお部屋の状況なども確認しながら、じっくりとお話を聞き、メンタル面で前回の訪問と変わりがないか確認していきます。
精神疾患の人の中には、内服をきちんと飲めない人もいます。
それは、症状が落ち着いているからと自己判断で中止してしまう場合もありますが、薬が効かないからと多重内服してしまう人もいます。
また、認知症の人では内服したこと自体を忘れてしまい、多重内服してしまう人もいます。
精神科の薬は、脳の機能を抑制して症状を緩和させるものもあるため、より注意して見ていかなくてはいけません。
時には、ご家族やケアマネと相談して、独居の方の場合は薬を事業所で預かり、訪問期間ごとにセットしていくこともありました。
精神科の訪問看護では、お話を聞いてメンタルケアもしていくのが仕事になります。
訪問看護では、ずっとそばについているわけではありません。
したがって、訪問と訪問の間に起きた感情の変化や状態の変化を聞き取り、気持ちに寄り添いながらアドバイスなどをして、メンタルケアをしていくことも大切になります。
また、精神疾患は体の病気とは違って目に見えるものばかりではなく、利用者さんによっては急に怒り出したように見えてしまうこともあります。
そのため、ご家族の気持ちを聞きながら、病気の特徴や精神症状が出たときの対処法などをお伝えしていくことも大切な仕事です。
精神科の訪問看護に限らずですが、訪問看護では多職種との連携が大切になります。
特に精神疾患の人によっては、他者への危害が及ぶ可能性もあります。
このとき、ケアマネや主治医に相談してサービスの見直しや内服の検討をしてもらうといった対応を取ってもらうこともあります。
次に、実際に訪問していた時のケースについてご紹介していきます。
まず一つ目は、認知症の人のケースです。
ご夫婦で介入させてもらっていました。
ご主人は認知症、奥様は統合失調症をお持ちで、認知症症状も少しある人でした。
ご主人の認知症はかなり進んでおり、内服もきちんと出来ない状態でした。
奥様もご主人のことを気にはかけてくれるのですが、もともと亭主関白なご主人なので、なかなか奥様のいうことは聞かず、奥様も統合失調症なのであまりたくさんのことをお願いできるような環境ではありませんでした。
そこで、内服は事業所に持ち帰り、特に眠剤を眠れないと多重内服する傾向があったので、ラムネを小さなジッパーに入れてプラセボとして、置いておいたところ「この薬はよく効く!」とおっしゃり、落ち着いて過ごされる日が増えました。
それでも、認知症なので日によってムラがあります。
きちんと内服できたりできなかったりでしたが、お二人の様子を見てお話を聞きながら、ケアマネージャーとも密に連絡を取って、在宅生活を過ごされていたケースです。
ご夫婦ともに統合失調症をお持ちのお宅で、このケースもお二人とも訪問させていただいていました。
ご主人は、脳血管疾患での片麻痺があり、本人が動くのが億劫でほぼ寝たきりになっていました。
奥様は、統合失調症によるものもあり、ご主人に手を出してしまう人で、時には包丁を持ち出してご主人を刺しそうになってしまうこともあった状態です。
このケースでは、ご主人に危害が及ぶ危険性があるので、特に奥様のメンタルケアを重視して訪問していました。
奥様の気持ちに寄り添いながらも、ご主人に手を出してしまうことはいけないことと伝え、それと同時に内服についても見直してもらう、ケアマネージャーにもサービスの検討の見直しをしてもらうなど、多職種が一丸となってサポートすることで、徐々に落ち着かれていったケースです。
それでも、ときには奥様がご主人に手を出してしまうこともありました。
ただ、奥様は隠さずにお話してくださったので、心に寄り添いながら対応してきたことで、信頼関係が築けて訪問看護師として、自信がついたケースでもあります。
最後に、うつの症状があった男性のケースです。
この方は、別の疾患で利用していたステロイドによる副作用で、うつと診断された人でした。
なかなかベッドから出られず、入浴も一苦労な状態でした。
そのため、入浴介助と精神的なところでのメンタルケア目的で介入させていただいていたケースです。
このとき、気持ちに寄り添いながら入浴や身だしなみを整えることのお約束などをしながら、少しずつ外にも出ていくことができるようになってきました。
ただ、やはり症状にはムラがあります。
できるときとできない時がありましたし、訪問時にはベッドに横になり入浴拒否ということもありました。
それでも、根気強くお話をきいたりすることで、受診時には自ら身支度ができるようになったりと、少しずつですがうつ症状の改善が見られるようになってきました。
また、この方の奥様にもお話を聞き、内服状況などでの困りごとなどがないかも見ていき、時にはアドバイスをしていく介入をさせていただいていました。
今回は精神科訪問看護について、ご紹介してきました。
精神科訪問看護は、利用者さんやご家族のメンタルケアをしていくことが多いです。
したがって、ご自宅での医療行為は少ないでしょう。
中には、精神疾患の人のところにひとりでの訪問が怖いという人もいるかもしれません。
しかし、暴力でスタッフに危害が及ぶ可能性がある場合は、決してひとりでの訪問をさせる事業所はないでしょうし、そういった場合は入院の対応が検討されることも少なくありませんので、安心して大丈夫です。
精神疾患の人の場合、人が変わるのが苦手な人も多く、よりじっくりと関わりやすくなります。
そして、また「あなたに来てもらいたい」「次はいつ来るの?」と言ってもらうこともあり、とてもやりがいの感じる職業になっていきます。
ぜひ、精神科訪問看護にもチャレンジしてみてくださいね。
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