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『ヤングケアラー』介護する子どもたち

ヤングケアラー 介護する子どもたち

最近、ニュースでも取り上げられている「ヤングケアラー」問題をご存知でしょうか?

「ヤングケアラー」とは、家庭内に要介護者や障がい者の家族がいる場合に、本来大人が担うべき家族の世話や介護・家事などを担う18歳未満の子どもを指します。

今年、厚生労働省と文部科学省が行った初の全国調査「ヤングケアラー実態調査」では、中学生の17人に1人、高校生の24人に1人が、家庭内で何らかの世話をしている人がいると答えています。

世話をしている人の内訳は、「兄弟・姉妹」が中学生は62%、高校生は44%と最も多く、「父母」は中学生が24%、高校生が30%で、続いて「祖父母」という結果でした。

「ヤングケアラー」は核家族化・高齢化社会の日本において年々増加しています。📈

18歳未満の子どもが学校に通いながら大人の代わりに家族の世話や介護をするという状況が生じる理由は何なのか「ヤングケアラー」の実態をお伝えします。

「ヤングケアラー」の実態

大人の代わりに家族の世話をする中高生の「ヤングケアラー」の現状は、その家庭の状態によってもさまざまなケースがあります。

忙しい両親に代わって幼い兄弟姉妹の面倒を見る家庭では、保育園の送迎から買い物・家事・食事の支度まで担います。

また、シングルマザーが多い昨今、幼い兄弟姉妹の面倒を見るのは兄・姉しかいません。

さらに、病気や障がいのある兄弟姉妹の場合は介助や見守りが必要で、さらに大きな負担がのしかかります。

親の介護を担う「ヤングケアラー」も増加傾向にありますが、その背景には現代の晩婚化や高齢出産の影響があると言わざるを得ません。

高齢出産になると、子どもが成人する前に親が老いて、何らかの病気や障がいによって介護を必要とする確率が高くなるので、必然的に子どもが介護を担わなくてはならないのです。

祖父母の介護を担う「ヤングケアラー」も多くいます。

これは高齢化社会の影響で、介護は必要だけれど元気なおじいちゃんおばあちゃんが家にいる状態の家庭では、両親は仕事で忙しいとなると祖父母の世話は子どもたちが担うことになります。

思春期・成長期の子どもたちが、学校に通いながら家庭のことも担わなくてはならないということがどれだけ心身に影響を及ぼすかを考えると痛ましい限りです。仲間と部活動に専念したり、友達と学校帰りに遊んで帰ったり、この時しかできない青春の大切な経験もできずに家族に尽くす、それが「ヤングケアラー」なのです。

「若いのに親の面倒見て偉いね」とか「あの子は親兄弟思いで立派だ」とかそんな美談ではすまされない問題なのです。

ヤングケアラーを助けたい

「ヤングケアラー」である子どもたちは、毎日家族の世話や介護をしているのが当然になっていて、自分が「ヤングケアラー」だと自覚していません。そのため、辛くてもどうしたらいいのかわからないという状況があります。

介護保険や公的な支援、民間のさまざまなサービスなどがあっても知らなければ利用できませんし、そもそも子どもたちはそういった発想がないのです💦

また、「ヤングケアラー」は孤独感や悩みを抱えやすいのに友達や周りの人に相談できない傾向があります。

学業との両立が難しいほどの負担がある子どもは、進学を諦めるケースも少なくないのです。

こうした子供たちの悲劇を救うべく、厚労省と文科省は、今回の「ヤングケアラー実態調査」の結果を受け、共同でプロジェクトチームを立ち上げ、「ヤングケアラー支援策」を固めるようです。

少しでも多くの「ヤングケアラー」の実態を把握して、本来の学生としての生活を送れるように支援することが重要です❗

ヤングケアラー萌ちゃんのケース

これは筆者の知人宅のリアルな「ヤングケアラー」のお話です。

上田さん(仮名)は45歳バツイチの男性で、子供3人と80代の両親と6人で暮らしています。子供は、長男20歳・長女16歳・次男14歳で、女の子は高校生の萌ちゃんだけなので、幼い時から祖母と一緒に家事を担ってきました。

上田さんの離婚当時は祖父母も若かったので、子供たちの面倒はずっと祖父母が見てくれました👴👵

そして今、高齢になった祖父母は、祖父が重い糖尿病でほとんど寝たきり、祖母は認知症が進行し目が離せない状態。にもかかわらず二人とも在宅で介護をしているのです。

その介護を主に担っているのが萌ちゃんです🙎

朝起きたら祖父をトイレに連れて行き介助して、祖母のオムツ交換をします。祖母もトイレに行きたいと訴えがあれば連れて行き座らせ、その間に祖父の着替え介助をします。

トイレに戻ると祖母が自分の便を掴んで壁にこすり付けていることもあり、祖母をキレイにしてから汚れたトイレの掃除をするのだそうです🚽

高校1年生の女の子が朝からとんでもない負担を強いられているのです。
食事も萌ちゃんが作り、中学生の弟に食べさせて学校に送り出し、祖父母の食事介助をしてから学校に行くそうです。

認知症の祖母がいるので学校帰りに友達と遊ぶことなど許されず、急いで帰って祖父母の世話をします。
そして夕飯作り、介助、片付け、洗濯物など家事全般を担っているのです。

やりたいことや夢があっても諦めるしかないと萌ちゃんは言います。
実際、中学生の時に頑張っていた陸上も、祖母の認知症が進み諦めざるを得なかったそうです😢

今、萌ちゃんのような「ヤングケアラー」が増え続けているのが現状です。

国が対策に動き出したからには、私たち大人も地域や周りに目を向け、「ヤングケアラー」に手を差し伸べたいと思います💕

  • コラムカテゴリー : 介護

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